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出雲人の語る出雲神話 法吉神社の巻

 法吉神社と書いて「ほっきじんじゃ」と読む。法吉とは何?鶯(うぐいす)のことである。この法吉町あたりの鶯は「ホッキチョ」と鳴く。この神社の近くでは今でもよく鶯をみかける。鶯谷という地名もある。
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 この神社に祀ってあるのは鶯ではない。蛤(ハマグリ)である。食べて美味しいあの貝である。
 出雲で神様になるのはハマグリだけではない。赤貝も神様になっている。
 赤貝は古語では蚶貝(きさがい)といい、キサガイヒメは加賀神社御祭神として祀られている。
 古代の日本人は何を見ても神様に見るという面白いところがあった。この遊び心というか、深遠な哲学というか。一神教にはない余裕が感じられる。
 
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 宇宙の中心はどこにでもあると語ったのは石器時代を過ごしてきたインデイアンだが、深く共鳴するものがあるのは、やはり民族的な血のつながりのせいでもあろうか。
 蛤さまといったが、正確には「宇武加比比売命(うむかひひめのみこと)」という神様だ。うむがいとは蛤のこと。この姫は昔々、大国主命が瀕死の重傷(火傷)を負った時に、アカガイ姫(きさかいひめ)と一緒になって助けて生き返らせた神とされる。

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 古事記のこのくだりは面白い。宇武加比比売命が、一旦死んだ大国主に対して「母の乳汁を塗りしかば、麗しき壮夫(おとこ)に成りて、出(い)で遊行(あそ)びき」、つまりいったん死んでた大国主にハマグリの乳汁を塗ったところ、生き返ってさっさと遊びに行った、というのである。なんだか目に浮かぶようである。
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ハマグリの汁が火傷に効くかどうかは知らないが、うむかいの「うむ」は産むであろう。大国主はその後たくさんの子供をつくった(嫁さんに産ませた)ようだ。

  by windyspace | 2013-02-13 18:41

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